内容(「BOOK」データベースより)
その「呪い」は26年前、ある「善意」から生まれた―。1998年、春。夜見山北中学に転校してきた榊原恒一(15歳)は、何かに怯えているようなクラスの雰囲気に違和感を覚える。不思議な存在感を放つ美少女ミサキ・メイに惹かれ、接触を試みる恒一だが、いっそう謎は深まるばかり。そんな中、クラス委員長の桜木ゆかりが凄惨な死を遂げた!この“世界”ではいったい、何が起こっているのか?秘密を探るべく動きはじめた恒一を、さらなる謎と恐怖が待ち受ける…。
― 共に写真に写った友人らが鬼になっていく。次は自分の番かもしれない。
私はある女性から相談を受けた。
彼女はセーラー服を着た女子生徒だったような、社会人だったような。
まあこの際どちらでも良いことだ。
どうやら鬼となった者たちも、まやかしか、人と見えるらしい。
それがある時鬼と化すそう。
どんどんと広まっていくであろうその現象をさぐるべく、私は彼女に連れられるまま、草原の広がる地に足を踏み入れる。
さわさわと心地の良い風が草を揺らすが、用事が用事なだけに、なんとも気味が悪い。
まずは腹ごしらえと、大学の食堂のようなところに場所を移す。と、彼女が明らかに動揺し、怯え始めた。
これはまずい。視線を辿った先には男がいた。歳は二十代後半から三十代前半といったところか。スーツを着ていたような、着ていなかったような。まあ、それもどうでも良いことだ。
座る男から目が離せないでいる彼女を引きはがして離れたところに席をとる。
きくと、さっきの男が話しかけてきたと言うが、男はこちらを見こそしていたが、口を開くことはなかったはずである。
不思議に思っていると、彼女が男から聞いたらしいことを語った。
つまりこうである。
鬼になりかけている者、つまり彼女には、鬼が見分けられる。いや、聞き分けられるというのか。
口は動いていないのに、その者の声が聞こえるのだそうだ。
鬼の方は鬼のほうでこちらが分かるのだろう。
彼女が男の声を聞いたということは、彼女の鬼化が進んでいるということである。
この現象を解く方法は分からないが、おおもとを断つか、少なくとも対峙する必要があるだろう。
これは急がなければならない。
時は飛んで、夕方。例の草原である。
何かに知らさせたのか、知らされなかったのか、彼女と共にいる。
相変わらず風はさわさわとふいている。鴉が帰っていく。
空が染まった頃、ひとり、またひとりと現れた。彼女の友人らだ。
誘われていく彼女。ますます染まる空。黒くなる草原。
私の視線はだんだんと消滅して行き、彼女のそれとリンクする。
目の前の友人らはいつもと変わらぬあどけない笑みをたたえていたが、それも次第にくずれていく。
眼球は収まるべき穴から垂れ下がり、美しかった皮膚は黒くただれていった。
逃げようとすればするほど彼女らの鬼化は進んでいくようだ。
この姿は、鬼というよりゾンビにこそ似ているのではないか。
いらぬことばかりが頭に浮かぶ。
彼女らはこちらに手をのばす。いや、差し出している? おいで、おいでと、まるでこちらが仲間だというように?
ふと気づく。私の皮膚はただれていく。眼球が溶けていく。あ、・・・
ギイヤャャーーーー、イヤァァーーーーー
という夢をみて、夜中に目が覚めた。
とてつもない恐怖を感じつつ、二分後くらいには再び夢の中だった気がするけれど。
とにかく、鮮やかかつ鮮明な映像でお送りされたこの自作ホラーは、きっと、
夏のはじめに読んだAnotherと、友人との有馬旅行でやったゾンビを打ち殺すゲームが影響をあたえているのでしょう。
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